Z1という古いバイクとの思い出

私は、車体価格が120万程のKawasakiのZ1をフルローンで買いました。私はバイクといえば空冷4発という謎のこだわりがありました。二輪免許を取り、初めて購入したバイクがZEPHYR400です。このZEPHYR400はZ2の後継車とも言われているバイクで、空冷独特の乾いたエキゾースト音やKawasakiならではのオイルトラブル…本当にいろいろと苦労をさせられました。それなのに、なぜZEPHYR400よりも大きく、手のかかるであろうZ1を購入したのか…。それは格好良かったからです。

ここでZ2を選ばなかった理由は、排気量の差です。国内車や逆輸入車にこだわりはなかったので、900㏄のZ1を購入しました。大型二輪の免許を取り、すぐさまZ1を探し、120万のローンを組みました。そこからはもう本当に手がかかりました。あそこを直せばここが壊れる…その繰り返しでした。ですが、その手のかかるところが大好きでもありました。

時にはバイクに怒りをぶつけたこともありました。怒りをぶつけると、バイクは全くいうことを聞いてくれません。ただの鉄の塊でしかないはずなのに、まるで感情があるようでした。手がかかればかかるほど、Z1が大好きになり、虜になっていきました。

私がしんどくて悲しい時は、Z1のカムチェーンの音や乾いたエキゾースト音が心に染みました。まるで一緒に泣いてくれているかのような、または励ましてくれているかのような、そんな音を奏でてくれました。私が嬉しい時は、Z1の調子がすこぶる良く、一緒に喜んでくれているかのようでした。ツーリングに行けば絶対に出先でどこかが壊れ、せっかくの観光地なのに修理に追われ、全く観光ができなかったなんてことはしょっちゅうでした。それも今となっては笑える思い出です。

そんな手のかかるZ1を手放す時がやってきました。転勤が決まり、どうしても連れていくことができませんでした。本当に泣く泣く知り合いに譲りました。

毎月のローンの返済に苦しめられ、修理代にパーツ代に苦しめられ、とにかくお金はありませんでした。ですが、Z1のおかげで仕事を頑張ることができ、この転勤も出世によるものでした。

Z1という古くてポンコツで、でも凄く格好良くて男らしいバイク。色んなところへツーリングへ行きましたが、その出先での思い出はZ1の修理を必死でやっていたことしか思い出せません。仕事以外の時間はずっとZ1の修理にカスタム…寝る間も惜しんで触り続けていました。そのせいで当時付き合っていた恋人に振られたのもいい思い出です。

色んなものを失い、色んなものを学ばせてくれ、私を大きく成長させてくれたZ1。譲った知り合いが今も現役で走らせてくれています。私にとって、Z1というバイクは一生忘れることのできない、最低で最高のバイクです。